受信料の高額さに疑問を感じる声が多い中、専門家の批判が生々しく響いてきます。
視聴者としては、これを利用してどのような価値が提供されるのか、一層の透明性が求められるように思います。
放送番組のネット配信が「必須業務」となったNHKでは、来年度後半をめどに同サービスを始める準備が進んでいる。先頃、そのネット受信料が地上契約と同額の月額1100円に設定されると発表されたのだが、当の局内では驚くべき“蓄財”がなされており……。
NHKの受信料収入は2018年度の7122億円をピークに減少。23年度は10月からの1割値下げもあって6328億円と、前年度比で過去最大の396億円減だったが、経営は盤石だという。
「NHKのバランスシートを見ると、まるで資産運用を生業にしているファンドではないかと見紛いそうになります」
とは、NHKの財務を分析している金融ジャーナリストの伊藤歩氏である。
「24年3月期の連結総資産は1兆4495億円。NHKが協会全体の財務諸表を公開し始めた09年3月期は9313億円だったので、15年で約5000億円も増えた計算になります。特筆すべきは現預金と有価証券をあわせた金融資産の多さ。15年前は4061億円でしたが、これが今回、8940億円と倍以上に膨らんでいます。総資産に占める割合は61%。上場企業でも、これだけ金融資産をため込んでいるところは滅多にありません」(同)
「収入と必要経費がトントンくらいの形が理想」
民間企業であればアクティビスト(物言う株主)が騒いでもおかしくない数字だといい、
「直近の内部留保も、連結では子会社を含めて5113億円と、6年前の1.4倍になっています」(同)
さらに続けて、こう批判する。
「NHKの役割は利益をため込むことではありません。公共放送としては、収入と必要経費がトントンくらいの形が理想。これだけ金融資産を持て余しているのなら、受信料を値下げするなりして国民に還元すべきではないでしょうか」(同)
「受信料を下げる余地」
財務諸表などによれば、職員の平均給与は年約1094万円と算出され、
「この額が、公共放送の職員の給与として適正かどうかという点はさておき、そもそもNHKがこれだけ多くの番組を制作する必要はないと思います。民放のようにバラエティーやドラマを量産するから、職員の人件費が増えるのです。民放の番組は収益事業として課税対象となりますが、NHKはすべての番組が公益事業とみなされて非課税。そうした点から考えても、公共放送が広い領域で番組を作る必要性は見当たりません。制作を縮小すれば職員も経費も大幅に削減でき、金融資産を吐き出して受信料を下げる余地が出てくるのです」(同)
10月10日発売の「週刊新潮」では、公共放送にもかかわらずニュース番組の制作費が減少している問題、災害報道を軽視する姿勢などと併せて、4ページにわたって詳しく報じている。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/10091131/?all=1